チロルチョコ、見いつけた。
洗濯機に入れる前にポケットの中を確認する。
もしティッシュが入っていたら、悲惨な状態になるから。
ゴソゴソ手を突っ込んで右ポケットの中を探る。
すると手に何かが当たった。
それを握って取り出したら、100円玉だった。
なんだか得した気分。
元々、自分のものなのに得した気分。
少しだけ期待を膨らませて、左ポケットの中も探る。
すると、また手に何かが当たった。
100円玉ではなさそう。
握って取り出したら、チロルチョコだった。
少し溶けて形が崩れた、チロルチョコ。
右に100円玉、左にチロルチョコ。
手のひらに収まる、小さな幸せ。
100円玉一枚あったらチロルチョコ何個買える?
そんなしょうもないことを考えてしまう。
それほどまでに、小さな幸せ。
賞味期限はいつまでだろう。
いびつなチロルチョコをじっくり見つめる。
ポケットに忘れていた100円玉が入っていたら、なんだか得した気分。
ポケットに忘れていたチロルチョコが入っていたら、どうだろう?
きっと食べない。
でもそれは、いつ買ったのかわからないときに限る。
思い出した。
このチロルチョコは、3日前に買ったもの。
賞味期限はまだまだ大丈夫。
形が少しくらい崩れていたって大丈夫。
早く食べなくちゃ。
この幸せの余韻が残っているうちに。
チロルチョコも幸せも。
賞味期限が切れる前にしっかり味わって、いただきます。